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2006年03月27日

自閉症とは。

私の関わらせて頂いている、ボランタリー活動の一つに、「自閉症児・者」との交流があります。
「自閉症」いう言葉も以前と比較すれば、格段に浸透してきましたが、それに対する理解はまだまだ浅いものだと思います。
以前のブログでもまったく同じ記事を書いたのですが、今回は私自身の理解の確認と心機一転意味を込めて、もう一度ご紹介しておこうと思います。
間違いや誤解なども、あるかと思います。お気づきになられたかたは、コメント機能等にて、お知らせ下さい。
私自身も、もっともっと、自閉症とはどういうものなのか、理解したいと考えています。
<はじめに>
自閉症は「脳の器質的な発達障がい」です。
この症例が紹介されはじめた頃は、心因性の障がいや精神疾患の一種と考えられていました。
また「保護者教育方法が悪い」という考え方が強くあったようです。
ひきこもり」に至るような精神状態や、うつ病のことと誤解されることもありますが、これらは「脳の(先天的)器質的な発達障がい」を起因としていないと考えられています。
また私自身の経験では、「自閉」という言葉の持つイメージとは、大きく異なると感じます。例えば自閉症の方の多くが、他者との関わりに喜びを感じていらっしゃる様子をよく実感します。
これは統合失調症を起因とした自己内界優位の現実離脱が先行研究として「自閉」と名付けられており、「自閉症」の当初の研究では統合失調症の幼児版であると考えられていたためです。
現在はこの名称が誤っていると、考えられ始めています。
<自閉症研究歴史と特徴>
1943年に、アメリカの児童精神科医レオ・カナー氏が知的障がい児の中から11例を感情的接触における自閉的障がい(autistic disturbance of affective contact)として報告し、翌年2例を追加して早期幼児自閉症(early infantile autism)と名付けました。これが現在「自閉症」として知られている症候群です。知的障がい(一般にIQ70程度以下)を伴い、「カナータイプ」や低 機能自閉症と呼ばれます。
カナー氏の研究は当初、自閉症の原因は親の愛情不足だと考えたり、先天的な知的障がいがあるわけではなく、心を閉ざしているだけであり、本来は聡明なのだろうと考えたりしていました。しかしそれらを覆す新事実が挙がると、自説の誤りを認めて訂正を進めました。
また自閉症症候群は、
1.生後30ヵ月以前に症状が現れる
2.言語発達の遅れ、および尋ねられたときにオウム返しの言葉がみられるなどの言語発達の異常がある
3.相手と目が合わないや、幼稚園学校で集団行動に参加しないなどの人間関係成立の遅れが見られる
4.特定の事物への強い執着や物事の変化に強い抵抗を示したり、手かざし、物を目に近づけて見るなどの常同行為、その他の物とのかかわりの異常がある
以上の4項目によって診断されるそうです。
また自閉度(自閉症傾向)を測る指標のひとつに、「自閉症スペクトラム指数(AQ)」(Baron-Cohen他、2001)があります。ただし一定水準以上のIQを持つ成人を対象としています。
また前述ような「カナータイプ」は全体の約70%であり、知能指数が知的な障がいとされるの水準にあるとされていますが、数%にあたるごく少数は知的な障がいを伴わず、アスペルガータイプ(高機能自閉症)と呼ばれます。
これは1944年に、オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガー氏によって紹介されました。しかし当時は大戦中であり、戦後もオーストリアは敗戦国であったため、戦勝国では注目されませんでした。
アスペルガー氏死去の翌年、1981年にアスペルガー氏の論文を英訳したイギリスの医師ローナ・ウィング氏によって、広く知らされました。
またローナ・ウィング氏は、「自閉症スペクトラム」についてもまとめています。
最近ではこの「自閉症スペクトラム」という考え方が、広まっています。
「スペクトラム=連続体」であり、簡単に言えば自閉性障がいの特性を共通に持っているということです。
自閉性障がいには共通点があるものの、その症例が多岐に渡っているため、その共通性を「スペクトラム=連続体」として表現しているのです。
その中で、
1.社会的相互交渉の障がい⇒社会スキルの獲得が困難 
  具体例:ほかの人と関われ(ら)ない、仲間になれない/周りの世界に無関心(のようにみえる)/協調、共感ができない/目線をそらす/人の表情や感情を読み取るのが苦手/(乳幼児期)おとなしい、手がかからない、親への愛着が乏しい、呼んでも振り向かないなど
2.コミュニケーションの障がい⇒言葉の獲得が困難。獲得してもコミュニケーションの道具として使うことが難しい。 
  具体例:言葉がない、または遅れ/オウム返し(エコラリア)/その場にそぐわない言葉、抑揚がなく気持ちのこもらない話し方/クレーン現象(何かして欲しいことがあった場合に、近くの人の手を引っ張って対象物まで持っていく)
3.想像力の障がいとそれに伴う、行動(常同的反復運動)の障がい⇒目の前の事柄だけを追いがちで、他人の気持ちを捉えることが苦手。人に介在している表情やニュアンス、時間などの非言語なもの、抽象的なものを捉えることが困難。
  具体例:局限化した興味や関心、自分のルールを曲げない、柔軟性の欠如・道順、手順、日課などの決まりごとの変更、変化への抵抗(こだわり)/体を前 後に揺すったり、手をひらひら、ぱたぱた、ぐるぐるまわりなど/人が何を考えているのかの推測不能・おもちゃ遊びの不適、ごっこ遊びや物まね遊びの欠如/ ものへの不適切な愛着
という3つの特徴が挙げられます。
また「自閉症スペクトラム」の中で、特に知的な発達障がいを含むものを「広汎性発達障がい(PDD=Pervasive Developmental Disorders)」とも呼びます。
前述した「自閉」という言葉の持つイメージを覆すものとして、最近はこの表現を用いることが多くなっています。
一方で、福祉現場では上記の特徴などの強さをもって、「自閉傾向」の強弱を表現することがあります。
この3つの特徴以外に、自閉症は認知の障がいとも考えられています。五感(触覚・聴覚・視覚・嗅覚・味覚)に問題を抱えていることが多いと言えます。
例えば、音へのこだわりや耳ふさぎ、人との接触に痛みを感じる、一度見たことや体験したことは写真で撮ったように覚えている、偏食など、多種多様です。
また「サヴァン症候群」と言う、高度な記憶力を背景とすると考えられる、芸術作品や自然物の再現、カレンダー計算、多数桁の暗算などをされる方もいらっしゃいますが、ごく少数です。ただしそれに準ずるような能力は、よく見られます。
<対応方法1「パニック」>
自閉症の方が耳を塞いで「う〜う〜」と言っていたり、奇声を上げながら自分の頭を叩いていたり、自分の手を噛んでいたり、突然走りだしたり、ジャンプしたりと、奇異な行動をとっていらっしゃるのを、見かけたことのある方も多いと思います。
この原因として、不安な気持ち、過去の体験の「フラッシュバック(怒られた記憶などが、映画のように鮮明に思い出される。またはそのような幻覚)」、現在過去の混同などが考えられます。すなわちその背景には、本人が消化しきれない問題(事柄)があると考えられます。
こんな時にその行動を無理に止めると、もっと不安になって、激しくなってしまうことが多々あります。
このようなものを「パニック」と呼びます。パニックの説明に関しては、2005年11月26日の「紅葉ハイキング」という記事とそのコメントにも多少書いていますので、興味のある方は、参考にしてください。
上記のような物を特に「自傷行為」と言いますが、「他傷行為」になる方もあります。
このような「不安」を取り除くためには、「(視覚優位の方が多いため)身振りや手振り、表示・文字・写真などや現物などで情報が整理されること」、「その方が知っていることで分かりやすいこと」「今後の予測、見通しがつくこと(いつ終わるかなど)」が有効だとされます。
ただし「現物では分かるが、写真では分からない」といった方もいらっしゃり、これらを踏まえた上での個別的な対応が必要です。
また現実的にはこれらが不可能な場面もあり、そんな時は、「ごまかす」こともあります。
具体的には、その場から離れてみる、その方が好きな言葉を繰り返すなどの他、こだわりを遂行するために必要なことを伝え、それを行っている間に気分を安定させて他の方向へ向けるなどです。
これだけでは少し分かりにくいかも知れませんので、具体的な経験を取り上げてみます。
[その場から離れてみる]
体調がすぐれない利用者さんと接した際、気分が不安定になると、強いこだわり行動を示されることがあります。
いくら止めても、コンセントを抜き続けるという方がいらっしゃいました。反復行動によって、安心したかったのだと思います。
こんな時は、後○回と伝えても止めることができない状態であることが多いので、強引にでも移動して頂いたことがあります。
なんとかこだわり行動はおさまり、気分も徐々に安定されました。
[その方が好きな言葉を繰り返す]
自閉症スペクトラムの特徴でも取り上げましたが、自閉症は言葉の獲得が難しい症例です。
しかし意思などを伝えるためではなく、多くの方が特定の言葉に愛着を持っていらっしゃいます。
プラスの気分の時と、マイナスの気分の時で、その言葉を使い分けることのできる方も多くいらっしゃいます。しかし大抵、まったく関係のない名詞であったり、アニメなどの台詞のワンフレーズであったりして、それを知っていないと対応は難しくなります。
気分が不安定な時は、マイナスに落ち込んだり、パニックが始まる前に、その方の好きな言葉を繰り返すことで気分を安定させてもらうことがあります。
これらの対応方法は、有効であると共に、その方の意思をがんじがらめにしてしまうようにも思います。
したがって私は、「ごまかし」として具体的に挙げたもの以外の対処方法も、「ごまかし」の意味のみならず、その人の思考誘導をも持つことがあることを理解した上で活用する必要があるように思います。
<対応方法2「留意点」>
自閉症の方と接する際の留意点として、まず話し方を取り上げます。
☆否定語は使わない。
 具体例:ここは通らない→横断歩道を歩きましょう/走らない→歩きましょうなど
☆大声を出さない。一定の口調で伝え、感情的態度を避ける。
☆事前に視界に入っておくなどして、突然話しかけない。
☆ゆっくり、できれば文節ごとに区切って話す。
☆具体的に、できれば決定事項を伝える。また何か尋ねるときには、本人がはっきりと答えを知っていることしか答えられないことがあり、意見を尋ねる際には特に注意が必要。同意を求めると、(修得できていればうなずきや身振りで)多くの人がうまくこなせる。
また前項で示したように、言葉だけでなく「(視覚優位の方が多いため)身振りや手振り、表示・文字・写真などや現物などで情報が整理されること」など、見て解るように工夫すると良いと言われます。
その他の留意点としては、
☆適切な距離を保つ。(人との接触に痛みを感じたりする方もいらっしゃるためで、逆にくっつきすぎる方もいらっしゃる)また身体に触られることが苦手な方も多い。
☆目線は合わせない。(眉間から上、額の中心くらいが良いとされる。)睨み付けない。(これも逆に、視界に入っていても目が合っていなければ、自分に話しかけられていることに気付かない方もいらっしゃる)
☆耳で聞いて処理(行動・理解)の苦手な方が多い。視覚的な呈示を行う。
☆待ち時間など何もすることが無いのは、苦手な方が多い。
☆急な変更が苦手な方が多い。
☆嫌な体験は、繰り返し思い出して(フラッシュバック)不安定になる要因。
二項連続してたくさんの対応方法を列挙しましたが、これらがすべての自閉症の方に当てはまる訳ではありません。
また前項で述べたように、すべての面において正しいと言える対処方法でもないと思います。
一方で、これらを活用することで本人の世界観の広がるきっかけに繋がれば、とても意味のあることだと思います。こだわりやパニック、強い要求などをそのま まにしておくことは、社会的なルールを身に付けられないばかりでなく、本人がまさに「自閉」から抜け出せなくなる原因ともなりかねないように思います。
さらにこれらの対処方法は、自閉症の方のみの当てはまるものでもないと考えています。学童期の教育目的、新人サラリーマンの育成などだけでなく、人と人が接する際に、その人間性において重要な項目も多々あると思います。
感情表現
自閉症への理解・研究が深まる中で、最近ではその「感情をどうやって他者に伝えるか?」というコミュニケーション方法も開発されています。
特徴の項目で挙げた、「クレーン現象」のように、それほど難しくなく修得できるコミュニケーション方法もあります。
現在のところ、対応方法の項目で挙げた「視覚優位の方」を対象としたものが、よく見かけられます。
代表的なのは、絵や写真を他者に見せて自分の感情を伝えるために、事前にカードを用意しておくものです。
またスケジュール等の管理のために、移動を示す車や電車写真目的地の写真を順番に並べることで、うまく過ごすことのできる方も多くいらっしゃいます。
さらに「マカトン」と呼ばれる、行動を元にしたような身振りをサイン代わりに使用することもあります。例えば、「のどが渇いた→手でコップを持つようにし て、口元に運ぶ」というしぐさなどです。しかしこれは一般的な動作だけでなく、本人や家庭内だけでのルールも含まれるので、それを知っていないと対応は難 しくなります。
これらの感情表現方法は、ごく近年に使用され始めたもので、成人の方では修得されていない方のほうが多くいらっしゃいます。さらに学童期の方で、練習中であることを最も多く見かけられます。
<具体的事象>
ここまで読んだ方の多くが、余計に解らなくなったのではないかと思います。
そこで私の経験をほんの少しだけ紹介すると、自閉症の方はこんな方々です・・・
夜寝る直前に、「わけいさん、朝ごはん何食べた?」と聞かれたことがあります。
素直に答えると、その方は黙り込まれました。
「○○さんは、何を食べましたか?」と聞き返しても、返事はありませんでした。
すると急に笑顔になって、小さく手を叩きながら、小さな声で歌を唄い始められました。
眠るのが、少し不安だったのだと思います。それを解消する術を、自分で探した結果が、「朝ごはん何食べた?」だったのでしょう。
その言葉自体に意味は無く、ただコミュニケーションを求められたのだと思っています。
言語表現のまったくできない方が、何度も顔を合わせるうちに、目が合ったとたんに独特の声を上げて、笑われるようになりました。
私のことを「知っている人だ」「敵ではない人だ」と表現されるようになったのだと思います。
叱った時に、腕を噛まれたり、爪を立てて抓られたこともあります。
私の叱り方がまずかったのだと思います。
一方で、こういった経験を互いに繰り返すことで、より相互理解が深まるようにも感じます。
突然生年月日を尋ねられ、素直に答えると、私の年齢と干支を正確に答えられました。
それまで無表情だったその方が、笑顔になって、身体を前後に揺らし始められました。
これがある種のパニック症状なのか、喜びの状態なのかは解りません。
不安定な時期は特に理由無く、軽い自傷をされることが多々あります。
ある方は右手を自分で噛んでいらっしゃいました。
ハイタッチするように、私の右手をその方の左肩の上に出すと、左手タッチを返されました。「今度はこっち」と右肩の上に出すと、それまで噛んで右手を離してタッチを返され、その後しばらく自傷は見られませんでした。
自傷行為は、健康に関わることもあるので、できれば避けて欲しいと私は思います。
私のこの対応は、「正しい」とは言えないと考えています。「否定しなかった」ことは良いのかも知れませんが、これが喜びになり、かえって何度もそれを求めようと自傷行為を繰り返されたり、こだわり行動に変化してしまうこともあると思うからです。
三桁掛ける三桁の掛け算を出題すると、しばらく考えた後に、正確な数字を答えられました。
私が計算機でボタン押して計算させるよりも、少し早く答えられ、大変驚きました。
その後しばらく、満面の笑みで過ごされました。
これも前述の年齢計算をされた方と同様に、パニック症状なのか、喜びの状態なのかは解りません。
散歩中の犬を見つけると、信号を無視し、反対側の歩道に走って逃げる方もいらっしゃいます。
犬なのどの動物を怖がる方は、非常に多くいらっしゃいます。
ですが、そんな方ばかりでもありません。むしろ過剰に関わろうとされる方もいらっしゃいます。
名前や家族構成などの情報を、ずっと覚えていらっしゃる方もおられます。
ある方は数ヵ月後に会っても、正確に記憶していらっしゃいました。
もう何年も前のことですが、恐らく今でも記憶されています。
この方ははじめのコミュニケーションの手段として、この質問をされたのだと思います。
これがいつごろ定着されたのかは解りませんが、ご本人の中で、ある種の満足を持ってのコミュニケーション手段なのだと考えています。
「○○年の○月○日って何曜日でしたっけ?」と尋ねると、瞬時に答えられ、「すごいですね!」と言うと、「はい。」とだけ言って、離れて行かれたこともあります。
何度もこのような質問をされ、飽き飽きされていたのかもしれません。
もしくはこういった能力を使った後に起こる、パニック症状を自己回避しようとされたとも考えられます。
ちょっとした予定の変更に対して、パニックを起こされました。
スケジュール写真を呈示すると、落ち着きを見せられました。
これは前項の「感情表現」で示したものの活用です。
これによって落ち着いて行動するきっかけにはなるものの、万能ではないし、場合によってはその人の「思考誘導をも持つことがある」と考えられます。
いかがでしょうか?
私の経験の中で、特に「自閉症の特徴」と呼ばれるものを示した例を少し挙げてみました。
これらは確かに「自閉症の特徴」を示していると思われますが、この方々はあくまで一人の人間であり、「同一」と言うものは考えず、自閉症も含めて「その人の特徴」として接することが最も大切なことだと考えています。
<まとめ>
冒頭で「脳の器質的な発達障がい」だと書きましたが、その発生原因は解明されていません。
つまり「自閉症」というものが、一体「何なのか?」は、解らないと言った方が良いのかもしれません。
思い上がりかも知れませんが、私は「自閉症」とされる方々と接することで、「人間の本質」に少しだけ触れることができたように思います。
posted by わけい at 21:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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