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2013年12月05日

新米パパへ 妻がママになった途端、あまりにも変わってしまったのはなぜなのか? 〜産後うつ防止とその対応について〜

新米パパへ

こんな戸惑いを感じていませんか?

子どもが生まれて、仕事は忙しいけれど順調で、幸せいっぱいなハズ。
なのに、妻は今までのようなジョークには笑ってくれないし、急に怒鳴りつけてきたり、ふさぎ込んで泣いたりしてる。
「育児ストレスかなぁ」と心配になって、飲み会はできるだけキャンセルしたり、仕事帰りに立ち寄っていた趣味関係のショップにも寄らずに早く帰って、ちょっとでも家事や育児を手伝おうと、疲れた身体を家に向かわせる。
それでも、妻は何が気に入らないのか、やっぱり今までのようには笑わないし、自分が何かすればする程、怒鳴りつけて泣き出してしまう。
「何かもう疲れちゃうなぁ」っていう気持ちで、久しぶりに飲み会に参加してみたり、趣味のことをちょっとやってみたりしたら、妻は「実家に帰る」とか言い出した。
「イクメン」や「カジダン」と職場で茶化されることもあるし、今までは妻も「カジダンももうすぐイクメンだね」と言って「ありがとう」と笑ってくれていたのに、妻は今までのように感謝してはくれないのだろうか?
仕事の疲れと、家庭のストレスと、自分はどこで発散すれば良いんだろう?
そして何より、妻がママになった途端、こんなに変わってしまったのは、どうしてなんだろう?

こんな生活に心当たりのある人は、決して少なく無いと思います。

先日「育児のストレス、の一番て結局これじゃないか?と思ったこと。 - スズコ、考える。」という記事を読んで、「育児ストレス」や「産後うつ」について考えていたことをまとめておかなきゃ!と思い、書き進めてみます。

育児ストレスについては、いろんなところで言われていることだし、今更細かく書くことは必要は無いと思いますが、このblogを読んでるような人は、「虐待=親が悪い」なんて単純な図式で考えず、「虐待=親の負担が大きくなりすぎている→どうすれば親の負担を軽減できるか?」っていう風に考えられる方々だと思っています。
もちろん、産後うつに関しても、「負担が大きすぎる→じゃあどうしよう?」って考えられる、そういう読者さんを対象にしているっていうことを前提に、書いていきますね。

IMG_2370.JPG




育児のストレス、の一番て結局これじゃないか?と思ったこと。 - スズコ、考える。」に書かれているのは、パパのどういう行動に対してママがストレスを感じているのかっていうことが論理的に書かれていて、とても参考になるのですが、極めて重要な一点を見逃してしまっているように思います。

その極めて重要な一点というのは、産後のホルモン変化です。
女性は妊娠はもちろんですが、出産でも大きくホルモンバランスが変化します。
見た目だけじゃなく、中身も大きく変わるっていうことです。
加えて、生活も一変しますよね。
一人の体だったのが、妊娠で二人で一人になり、出産後はほとんど肌身離せない存在が終始くっついている生活に変わります。
母乳で育てられるっていうのは、とても幸せなことであると同時に、肌身離せない存在という、生活の支障を抱くことにもなると言えます。
このホルモン変化で、腱鞘炎を発症する人もいます。

ハッキリ言えばね、これで何にもストレス感じないワケがないんですよ。
この客観的事実だけで、もう考え方だとか母性だとかっていうレベルで解消されるストレスレベルじゃないんです。
しかも加えて、ホルモン変化が感情を大きく後押しして、感情の爆発や強烈なふさぎ込みを誘引します。

だから、新米ママの多くが新米パパに対して、怒鳴ったり急に泣き出したり、感情の荒波を一番身近である夫にぶつけてしまう訳です。
冒頭で書いた新米パパの戸惑いっていうのは、出産までは穏やかだった妻が、それまでには考えられないような感情をぶつけて来るから起こる訳で、その大きな原因は、ママの置かれている環境やパパの言動だけでなく、ホルモン変化という生理的原因があることを、まずは押さえて下さい。

パパが忙しい合間を縫って、家事や育児をしてくれることにはとても感謝する気持ちはあるけれど、それでストレスが軽減されると言うには微力すぎるのです。
さらに今までちょっとイラッとする程度だった、夫の言動の「何となく気に入らないこと」が、ホルモン変化による感情の乱れによって、爆発になったりしてしまうのです。
そんな中で、冒頭のような「イクメン」とか「カジダン」って呼ばれる優しい男性は、頑張りすぎて、今度は自分が疲れてしまう。

こんな新米パパと新米ママのすれ違いを、何とかしたいなと思います。


自分自身の経験をご紹介してみます。
僕はうつ病キャリアで、その改善後に子どもが生まれました。
妻が妊娠するまでの期間、うつがだいぶ改善してきた頃には、この病気になったことを感謝できるようになっていました。
でも妻の出産後、妻の感情の波が激変して、「(精神科か心療内科の)病院に行った方が良いかなぁ?」と泣きそうになりながらつぶやく妻を見て、「絶対自分の経験が役に立てられる!」と本気の感謝をしました。

出産直後から振り返ってみます。

僕はそれまで、介護の仕事経験もあっておむつ交換はできるし、子どもと接する機会の多い環境にもいたし、うつの回復期には家事をすることから始めたので、子どもが生まれる頃には、家事にも育児にも自信がありました。
だから、妻がそれらのことを上手にできなくても、母乳を与えること以外は全部支えるっていうくらいの気持ちでいました。

けれど出産後、妻が慣れない手つきで一生懸命おむつ交換や沐浴をさせている姿、手を貸そうとする僕をさりげなく無視する背中から、こんな声が聞こえて来るように思いました。

「この子は、私の赤ちゃん。肌身離せない。パパはこの子の側に居れないことが多いけど、私はずっと一緒に居なくちゃならない。どんな時も、私が面倒を見て、守らなくちゃならないの。だから、慣れない私の動作は心配かもしれないけれど、この子の最初の面倒は、私に見させて。あなたは手を貸さないで。」

そんな姿から、僕は妻がママに変わったのだと理解しました。
考えてみれば当たり前のことで、女性は妊娠→出産と、身体の変化が劇的にありますが、男性は出産に立ち会おうと家事育児にいかに尽くそうと、身体的な変化は何一つ起こりません。
妊娠出産を経れば妻はママに変化しますが、夫はすぐにはパパにならないのです。

夫がどんなに家事育児に尽くしているように見えても、それはしょせんスケジュールの調整や作業の効率化・分担という域を出ていない。
冒頭の新米パパの戸惑いで、ちょっとした気晴らしのつもりが、なぜ「実家に帰りたい」という飛躍しているとしか思えないママの強い反感、激情を生むのか、その原因がここにあるように思います。

パパは自分を家事育児を請け負う作業員のようにしか思っていないのに、ママは24時間「親」という意識で生活している、つまり考え方の根底にあるものの次元が違うのです。

だから、上手に家事育児をすることよりも、ママをママらしくしていくサポートに徹しなければならないんだなぁと、この時の妻の姿から悟りました。

それぞれの実家の両親を頼りつつ、ママにママらしく生きてもらうために、僕は妻が育児によってできなくなってしまったことを、さりげなくするように心がけました。
ポイントはあくまでも「さりげなく」で、「〜やっとこうか?」とか「〜やっといたよ」という言葉は極力出さないようにしました。
妻が気付こうが気付かまいが、やっておいた方が良いと思えることは、サッとやっておけば良いのです。

それでも妻は、「何もできない」「何もやる気がしない」「病院に行った方が良いかな?」と、悲しそうにつぶやく日がありました。
僕には大きく二つの選択肢がありました。ひとつは早急な段階で医療の専門的なサポートを受けることと、もうひとつは「自分たちだけではどうしても切り抜けられない」という段階まで、医療のサポートを受けずに過ごしてみること。

自分に精神医療的な知識の自信が無いのなら、早急なサポートを選択した方が賢明だと思いますが、ギリギリまで一人で支える自信があるなら、医療のサポートは先延ばしした方が良いと思います。
医療のサポートを受け始めると、かなり長期間、通院等の負担として続いていくからです。

ここは男性にとってかなり難しい選択ですが、僕は自分のうつキャリアのおかげで、自分が支えることを選択できました。

「一週間、辛い日が続いたら、病院に行こう。一週間続いてるかどうかは、僕が見ておくから」そう妻に伝えて、見守りました。
医療機関が薦める受診の目安は「一ヶ月」ですが、そこには「自分で正常に判断できない」という前提があるからで、当事者以外の人物が客観的に判断を下せるなら、一週間くらいを目安にするのが良いと思っています。
「毎日しんどいよぉ」という妻に対して、「四日前は、一緒に出かけて、楽しそうだったよ」、「昨日も今日も、ちゃんとご飯作ってくれてたじゃない」などと伝えていきました。

実際問題、この期間は僕にとって体力的にかなりキツいものでした。
早めに帰って、大変な中で妻が作ってくれた食事を済ませ、三人で入浴後妻は授乳と就寝、その間に掃除や洗濯の家事をして、一段落したら仕事の続き。食事もあとの時間や子どものぐずりを考えたら、休憩や楽しむというより、胃に流し込む作業のような感じで、身体を休められるのは、寝ている時だけ。それも夜泣きとかがあるので、いつ寝ていつ起きたのか解らない状況でした。朝も早めに起きて家事とか仕事とかをしなければならなかったので、常に睡眠不足でした。
でも精神面では、うつキャリアのおかげで、色んなことをうまく受け流すコツや、嬉しいこと、良いこと探しのコツを身につけていたので、難なく乗り切り、妻にもプレッシャーをかけずに励ますことができていたように思います。
また、頼まれた買い物ついでにそのお店を見て回るのが、僕にとっての大きなストレス発散になりました。あまり長居はできませんが、何でもない一人のウインドウショッピング、というか、一人の時間を作れることが、どんなにストレスを軽減してくれるのかを知りました。だから、できるだけ妻にも一人の時間を作ってあげようと考えるようにもなりました。

決して楽な時間ではありませんでしたが、この期間が僕を「パパ」にしてくれたと思います。

そんな期間を過ごすうちに、「片づけがしたい」と妻が言ってきました。
僕にとっては、待ちに待った言葉でした。
片づけがいかに人の心を安定させるかを知っていましたし、それを自ら求めるということは、それなりの体力も精神力も回復してきた証拠だからです。
早速日を決めて、片づけを決行しました。

ただし、ここでも僕は、ほとんど手を貸さないようにしました。
二人で一緒に使っている部屋であっても、お互いがお互いの荷物に干渉し過ぎるのは、良いことではありません。
何より、今回の片づけは妻の心を回復させる目的があるのであって、それを僕が手伝い過ぎても、何の意味もありません。
子どもをあやしながら、重い荷物を運ぶのを手伝ったり、片づけのコツを伝えたりというサポートに徹しました。

この日から、妻の心は安定していきました。
長いようで短い、産後ブルーの日々が終わりました。


ここまで強い症状が出る方は多くないでしょうし、パパ側の対処もそんなに難しくない場合の方が多いと思います。
ただ、実際にその場になってみるまで、予測が立てられないのが現実です。
もしできることなら、妊娠期間中から、子育ての準備に加えて、産後のうつ状態がひどい場合はどうするか話し合っておくのが良いと思います。
「喜び探し」や「受け流すコツ」はこのblogでも書いています。記事の最後にリンクを貼っておきますので、参考にしてみて下さい。

パパ側の心構えとして、妻は出産という瞬間を境に、確実にママに変わるので、それを覚悟しておくことがまず必要です。
一方、夫がパパに変わるのは、ママのように一瞬で変わるのではなく、徐々に徐々に変わっていくものなので、ママ側もパパに過剰な期待をしないことです。
お互いに、期待の4割して貰えたら十二分だと心得ましょう。
後々、時間を経るに従って、いつの間にかパパの方がママよりも深く強い愛情を子どもに向けていることも、ままあります。

その辺のことは、TEDプレゼンビデオの「ルーファス・グリスコムとアリサ・ヴォルクマン : 子育てのタブーを語ろう | Video on TED.com」の3:30〜6:00あたりに詳しいのでご参考に。


出産から離乳食を始めるくらいまでの時間を、夫婦として、両親として、どうやって過ごしていくかが、その後の夫婦の形を少なからず変えていくと思います。
場合によっては、「産後クライシス」として、離婚危機を招くこともあります。
けれどお互いがどんなサポートを必要としているのかを深く深く知る、素晴らしいチャンスでもあります。
数ヶ月は我慢の時間になると思いますが、振り返れば、たった数ヶ月です。このチャンスを逃さないで下さい。

ところで、産後のうつ状態からホントに「うつ病」になってしまった場合どうすれば良いのか。
まずできるだけ早く、医療機関のサポートを受けて下さい。
そこから先は普通のうつ病と同じ対処になりますが、子どもという大きくかつ不可避なストレス源の存在があるので、通常よりは長期になる場合が多いです。
双方の祖父母など、身近な人にサポートを求めたり、それが難しいなら、短期の里親利用など、社会的支援も積極活用して下さい。
時間はかかりますが、確実に良くなって、幸せな家庭が築けるので、心配は必要ありません。

僕らの経験が、少しでも育児ストレスへの対処法の参考として貰えれば嬉しいです。

<参考リンク>
育児のストレス、の一番て結局これじゃないか?と思ったこと。 - スズコ、考える。
育児には積極的なつもりだったが… 妻が家を出た理由  :日本経済新聞
妻が消えた。ある日、飲み会から帰ると… | イクメンと呼ばれて | 日経DUAL
「偽装イクメン」が本物になった日 | イクメンと呼ばれて | 日経DUAL
ルーファス・グリスコムとアリサ・ヴォルクマン : 子育てのタブーを語ろう | Video on TED.com

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posted by わけい at 20:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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