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2015年02月28日

介護福祉従業者の賃金がなぜ低いのか、やっと解った。〜ソーシャル・キャピタルと市場の狭間〜

障害者施設における虐待事件はなぜ起こるのか―福祉労働者の視点から考える―(藤田孝典) - 個人 - Yahoo!ニュース

こんな記事を読みました。
福祉事業所で問題が起きる根本的な原因は、低賃金などの労働環境の劣悪さであり、それを改善することが必要だという結論です。

介護福祉業界の賃金が低いことはみんなよく知っていることですが、それが「なぜ」なのかを明確に語る人は少ないです。

ふと気づきました。
介護福祉業界は、「社会的共通資本」として公的に支えられているわけでもなく、市場に任せて、利益を追求することもできない、「生かさず殺さず」の状況に、誰が望んだ訳でもないのに、追い込まれているからだと。
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「社会的共通資本」は、例えば医療、教育、軍事、道路などのように、みんなから集めた税金を中心に、みんなで使いみちを決めて振り分け、支えるものです。
お金のある人も無い人も、生きる上でそれを必ず必要とするからです。

一方、上に挙げたもの以外の大半は、「市場」で取引され、うまく行けば事業者に利益をもたらし、失敗すれば損害を被るということを繰り返しています。

今の日本の福祉制度は、この狭間にあります。
介護保険料という、共通財産を、必要とする人に再分配するという点では、医療保険(健康保険)と同じく、社会的共通資本です。
しかし、医療に比較すればその額は非常に低く、それだけで利益を得るのは難しい現実があります。
介護サービスを提供して利益を得るためには、営業を拡大し、人気のある事業者にならなければなりません。しかし、介護保険料で支えられている介護サービス事業者は、サービス料金を独自に決定する権限の幅が非常に狭い上に、提供するサービスの内容も、ほとんど自由がありません。
医療の場合、どの病院に行っても、診療内容が同じであればほぼ同じ金額がかかるというのは、介護福祉業界と同じですが、その利益率には雲泥の差があります。
市場で取引される営利事業であれば、低価格にして人気を集めることも、高額にして収益を確保することも、すべて事業主と消費者のニーズが決めますが、介護サービスの場合は、事業所はたくさんあって、利用者がそれらの中から選択することはできても、双方とも、より安いサービスを求めることも、より高い収益を求めることも、現実的に不可能なのです。
ほぼ唯一可能なのが、「『有料』老人ホーム」くらいです。

介護福祉も、医療と同じく、社会的共通資本として、公的に支えていくのか。それとも、市場に任せて、「有料老人ホーム」や「有料デイサービス」などに特化した、高所得者のための手厚いサービスと、低所得者のための必要最低限のサービスで薄利多売の事業として二極化前提で存続させるのか、今現在くらいが、最後のターニングポイントなのではないかと思います。

介護福祉を医療並に支えようと思えば、介護保険はより高額になり、負担をする年齢層を広げなければなりません。
また、ホームヘルパーもケアマネジャーもすべて国家資格化する必要があるでしょう。
市場に任せれば、サービスは確実に二極化しますから、それで本当に、多くの人が安心や幸せを得ることができるのか疑問です。また、介護が必要なのに介護を受けられない、「介護難民」が発生し、それを支える家族の負担は、国全体の労働人口の低下を招く恐れさえあります。

どうすれば良いのか、正直なところ、今の私には判断がつきかねますが、これを読んでいらっしゃる方は、今の介護福祉業界が、「ソーシャル・キャピタルと市場の狭間にある」ということを、まず認識して考えてみてもらいたいと思います。

それでも尚、どちらかを選ぶとしたら、私の選択は、「ソーシャル・キャピタルとして公的に支えるべき」だと思います。
冒頭の記事で紹介されている事業所のように、累犯障害者を支えることで、治安向上、刑務所経費の軽減が期待できます。
家族の介護負担を軽減することで、労働人口、労働時間を向上させることができます。
労働世代者の死亡は、社会的に大きな損失ですから、自殺者の減少や労働環境の改善により、生産力の大幅な向上が見込まれます。
しかも福祉で人を支えることは、一般的な公共事業と違って、その場限りの効果ではなく、永続的な効果があります。
これらのように、単純な算数で、福祉で人を支える方が、公共事業よりも実は費用対効果が高いからです。

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posted by わけい at 20:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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