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2015年06月22日

佐々井秀嶺さんの講演会に行ってきました。

先日、真言宗の総本山、高野山で開かれた、佐々井秀嶺さんの講演会に行ってきました。

「佐々井秀嶺って誰?!」という方が多いと思いますが、個人的には、日本人が知らないすごい日本人の、かなり上位に位置する人です。
以下、色々と紹介しますが、「よく解らないなぁ」という単語に関しては、最後にリンクを貼っておきますので、ご参考に。。
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佐々井秀嶺さんは、50年にわたって、インドで仏教の復興運動を牽引してきた方です。
ヒンドゥーカースト差別(「カースト」は英語ですので、本来、英語でインドの文化を語ること自体がおかしいのですが)の最下層のさらに下、「不可触民」と呼ばれる、聞くにも耐えないような差別を受けてきた(今もまだその差別は続いている)身分の出身で、インド初代法務大臣となり、カースト差別を禁じているインドの現行憲法を作った、「アンベードカル博士」という方が、名実ともにそういった差別を無くすために、ヒンドゥーとは全く違う枠組みで、民衆が平等に生きる社会を目指そうと、仏教への改宗を進める運動をしました。
アンベードカル博士が実際に集団改宗をしたのは、亡くなる直前のことでしたが、今、その活動は佐々井秀嶺という日本人僧侶によって引き継がれ、今、佐々井秀嶺さんの手によって改宗した人は、一億から二億人と言われる規模になっています。

元々、佐々井秀嶺さんは、アンベードカル博士のことを全くご存知ありませんでした。
今から50年前、佐々井秀嶺さんは、人生の様々な紆余曲折の末に僧侶となり、インドで勉強、兼、寺院建立の奉仕活動をしていました。
帰国予定の直前、人生を変える霊体験をします。

「我は龍樹なり。汝、速やかに南天竜宮城へ行け。南天鉄塔もそこにあり。南天鉄塔は我が法城、我が法城は汝が法城。汝、速やかに南天竜宮城へ行け。」

真言宗をはじめ、「大乗仏教」の始祖と言われる「龍樹(ナーガルジュナ)」からのお告げでした。

その言葉を頼りにたどり着いたのが、インド大陸のど真ん中、「ナグプール」という地域で、アンベードカル博士が仏教復興運動を指揮した所でした。

「ナグ(あるいは「ナーガ」や「ナーグ」)」とは、どうやら「龍」を意味する言葉で、インドに遥か昔から住み着いていた人たちが、「自分たちは龍の末裔だ」という神話を以って気高く生きていたようです。
しかし、アーリア人がインドの地に入り、その武力によってインド全土を制圧し、アーリア人との血縁の濃さによって階層分けし、さらに多神教のヒンドゥーと結び付けたのが、現在の「カースト」というもので、「龍を祖先」として生きてきた人たちは、このカーストの最下層である「不可触民」に位置付けられたという歴史があるようです。
ちなみに、インドにアーリア人が入ってきたのは、ゴータマ・ブッダによる仏教成立の遥か以前のこと。
さらに、カーストが固定的で濃厚な差別意識を成立させたのは、イギリスがインドを植民地支配する頃のことで、今からわずか数百年前のこととも言われています。それ以前は、近代以前の多くの国や地域が持っていた、支配階級と被支配階級である庶民、そして奴隷という、ほぼ単純な階層差別があっただけだとも言われています。
日本でも、江戸末期に、社会の不安定化と共に、士農工商差別が重厚になり、さらにその下の「えた」とか「ひにん」と呼ばれる階層を作っていった歴史と、共通するものが感じられます。

さて、そんな「龍樹(ナーガルジュナ)」が、大乗仏教と呼ばれる教えを会得したのが、「南天鉄塔」です。
日本で信仰されている多くの仏教宗派は大乗仏教に分類されますが、中でも真言宗はその意識を強く持っているように思います。
真言宗の開祖である空海が、中国で学んだ頃に伝え聞いた南天鉄塔について記録した記述が、日本仏教界における、南天鉄塔や龍樹菩薩についての拠り所となっています。

南天鉄塔については、昔から「事」と「理」の争点がありました。
「事」とは、実際に存在するというもの、「理」とは、実物としては存在せず、龍樹菩薩の悟りのもの、つまり龍樹菩薩の心の中に存在したもの、という対比です。

今回の講演会では、この南天鉄塔の遺跡調査についても詳細にお話下さいました。

佐々井秀嶺さんが、仏教復興運動と平行して行ってきた調査の中で、たくさんの遺跡が見つかったそうですが、その中でも、「マンセル遺跡」が、おそらくは事実の上での南天鉄塔であろうと語られていました。
南天鉄塔は、空海の記述によれば、自然発生したものだそうですが、「マンセル遺跡」は、鉄分を多く含んだ丘(当然、自然発生したもの)の中に洞窟があり、梵語で文字の書かれた鉄の扉があるそうです。かつてはこの丘の上に、ストゥーパ(これはもちろん人間の手で建立されたもの)が建っていたそうです。
マンセル遺跡の鉄の扉の向こう側は、現在、コブラの巣窟になっていて、内部調査はなかなか進んでいないのが、現状のようです。

佐々井秀嶺さんは、南天鉄塔について、「事でもあり理でもある」というお立場です。
すなわち、もともとあった丘の洞窟で悟りを得た龍樹菩薩(ナーガルジュナ)が実在し、その丘の地域から教えが広まって、その丘の上にストゥーパが建造されたり鉄の扉が付けられた歴史があるということなのだと思います。
現状、コブラの巣窟になっている遺跡の詳細な調査を今後、していきたいとおっしゃっていました。


さて、インドの民衆を仏教によって救う活動を行い、大きな成果を生みながら、同時にこれまで大きな謎とされてきた、大乗仏教の本元をも見出だしつつある、佐々井秀嶺さんですが、冒頭の通り、日本ではほとんど知られていません。今回の講演会でも、会場の半分強程しか埋まって居ませんでした。しかもその大半は仏教関係者で、一般人はかなり少なく、まして僕のような他宗教信仰者は、まず居ない様子でした。

佐々井秀嶺さんに限らず、本当に凄いこと、立派なことをしているはずなのに、報道されず、知られざる存在になっている日本人は、実はかなり多く居ます。

僕の友人、知人にも、インドや中国、スリランカ、アフリカ・コンゴ、ウガンダなどなど、様々な地域で色々な苦しみの中にある人々を支援する活動を行っている人がたくさん居ます。
しかし、彼らが報道に取り上げられることはほとんどありません。しかも仮に紹介されることがあったとしても、その信条のバックボーンとなる宗教については、小さな発言でも全てカットされるのが厳格なルールにすらなっているようです。

でも別に、僕はマスコミに罪があるとは全く思っていません。
そんなもんだと思います。

世界をより良くしたいという上で大事なのは、別に、このような立派な方々の活動を知ることではないと思います。
できるだけ他人を批判せずに付き合い、その人の向こう側にいる人のさらに向こう側に目を向ければ、ほぼ世界中の人と繋がるということを感じながら、目の前にいる人の役にできるだけ立とうとすることなのだと思います。
そうする中で、本当に出会うべき人とは、いつか巡り会い、支え合えるはずだと思います。

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<参考リンク>
インド仏教の最高指導者 佐々井秀嶺上人 高野山講演 生中継 - 2015/06/14 09:30開始 - ニコニコ生放送
佐々井秀嶺 - Wikipedia
ビームラーオ・アンベードカル - Wikipedia
大乗仏教 - Wikipedia
龍樹 - Wikipedia
南天鉄塔 - Wikipedia

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To Be Freedom@読書三昧: 不可触民―もうひとつのインド
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posted by わけい at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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