実家から有害指定物質が出てきたら。
先月、父が特養に入所したので、実家の片付けをし始めました。
すると、「トリクロロエチレン」という聞きなれない液体の入った一斗缶が出て来たので、対応に苦慮した話を、備忘録として書いておきます。


(注:製品名、製造企業名、企業住所と電話番号は削除しています)
<トリクロロエチレンとは>
半導体産業での洗浄用やクリーニング剤として1980年代頃までは広く用いられていましたが、発癌性が指摘され、環境への影響が無くなるように処理・処分することが義務づけられています。
トリクロロエチレン - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%AD%E3%82%A8%E3%83%81%E3%83%AC%E3%83%B3<対応苦慮の顛末>
一応、法人格を持っているとは言え、業務上も生活上も全く使う心当たりのない「トリクロロエチレン」がなぜ我が実家にあるのか、さっぱり解りませんが、事情を知っているであろう父は、話すこともできません。
我が子に負の遺産を継承しないためにも、僕が処理をするしかないと、腹をくくりました。
1.生産企業に連絡
まず容器に書かれてある電話番号に電話。
幸い、大手企業で、電話番号は今でも使われており、営業担当の方から折り返しのお電話を頂いて、丁寧に対応して下さいました。
曰く、
「各自治体の『産業資源循環協会』に問い合わせて下さい」
とのこと。
こういった産業廃棄物処理に関する業務を行っているところだそうです。
申し込む際に、「安全データシート(SDS)」の提出を求められる場合があるので、企業のホームページ内からダウンロードするように案内されました。
かなり丁寧に説明して下さり、有難かった。
公益社団法人 全国産業資源循環連合会
https://www.zensanpairen.or.jp/職場のあんぜんサイト:SDS[安全衛生キーワード]
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo07_1.html2.自治体の「産業資源循環協会」に連絡
企業から案内された通り、産業資源循環協会に電話。
ところが、
「事業として使用した『産業廃棄物』でなければ、受け付けられない」
と言われてしまいました。
厚かましく、
「法人格があるので、事業で使っていたとは考えにくいが、この法人からの産業廃棄物という名目で受け付けて貰えないか」
と食い下がってみたところ、
「グレーになってしまうので…」
と濁されてしまいました。
丁寧に対応して頂きながら、厚かましいお願いをしてしまったこと、この場をお借りして、お詫びと感謝を表します。
そして
「自治体の『事業管理課』に問い合わせください」
と案内して下さいました。
3.自治体の「事業管理課」に連絡
案内された通り、自治体の「事業管理課」に電話。
企業と「産業資源循環協会」では、「トリクロロエチレン」という名前を伝えれば、どういったものかご存知でしたが、「事業管理課」の方はご存知ないようでした。
経緯を一通り説明したところ、
「こちらでは対応できないので、『一般廃棄物適正処理協会』に問い合わせて下さい」
と案内されました。
「事業管理課」の方も、上司の方に早速相談して下さり、こちらも非常に丁寧に対応して下さいました。ありがとうございます。
4.一般廃棄物適正処理協会に連絡
案内された通り、「一般廃棄物適正処理協会」に電話。
「事業管理課」と同様に、「トリクロロエチレン」についてご存知ないようでした。
これまでの経緯を全てお話したところ、調べて対応すると仰り、こちらの電話番号と住所を伝えて電話を切りました。
ここまでの経緯から、あまり期待せずに待機。
すると、登録していないケータイ番号から、電話がかかってきました。
5.産業廃棄物処理会社からの電話
出ると、産業廃棄物処理会社の方でした。
廃棄物の回収、処理、リサイクル事業をされている会社で、なんと、実家から自転車で五分もかからない所にある会社でした。
じゃあ、これからすぐに持って行きますのでお願いします、とお伝えし、無事、トリクロロエチレンの処理を受け入れて貰えました。
処理費用は、税込み3300円でした。
高いのか安いのか解りませんが、ここまでたくさんの方々が、無償で丁寧に対応して下さったことを考えると、その方々に1円の報酬も渡らないことが申し訳なく感じました。
<まとめ>
以上、トリクロロエチレンが見つかったところから、無事に処分に至るまでの顛末でした。
子どもに負の遺産を継承せずに済んだことを、誇らしく思います。
しかし最後に、トントン拍子に、すぐ近所で対応して貰えたことが何より、キツネにつままれたような感覚になりました。
僕が苦労すると、大抵こんな結末を迎えます。
きっと誰かの掌の上。
僕の経験が、誰の参考にもならないことを願いつつ、もしもお役に立てれば、幸甚です。
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